第96回関西支部定例研究会
- 日時:平成25年1月12日(土) 14:00~17:00
- 場所:名城大学名駅サテライト(MSAT)
- 講師:守屋純(名古屋市立大学)
島田大輔(早稲田大学大学院) - 演題:(守屋氏)「守屋純『独ソ戦争はこうして始まった』(中央公論新社)の解説・解題と書評会」
(島田氏)「東京朝日新聞記者・大西斎の中国論 ―満州事変勃発に至るまでの変遷―」
守屋氏からは、『独ソ戦争はこうして始まった』執筆にあたり、その調査の中で出てきた問題点が提示された。スターリンについては、その戦略に関して、「チェスの名手」、「200%の確実性」を求めるというイメージが形成されている。しかしスターリンは、外交に関して、いわれるほど先を見越した名人とは言えないのではないかという論点が提示され、それを巡って議論がおこなわれた。
島田氏は、東京朝日新聞が、満州事変にさいし、それを容認する「社論の転換」をおこなたことについて、これを外的要因、すなわち軍部・右翼からの圧力・不買運動のせいにすることに疑義を提示した。そしてその基礎的研究として、東京朝日社論転換の張本人と言われている大西斎(1889-1947)の、1920年頃から31年頃までの中国認識が検討された。
二つの報告とも史料に基づきながらも大変論争的で刺激的な発表であった。