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第34回(平成12年度)年次大会

日時  平成12年6月3、4日
場所  慶應義塾大学 三田キャンパス

本年度の年次研究大会は昨年度同様、東京に所在する慶應義塾大学三田キャンパスを会場に、270名を越える参加者を得て開催された。共通論題は昨年からの継続で「20世紀アジアの戦争 2」であった。
第1日目は午前11時から総会が開かれ、はじめに林吉永副会長が議長に選出された。続いて伊藤隆会長が挨拶に立ち、今次大会への抱負、好評を博している『機密戦争日誌』に続く軍事史学会としての戦史史料集編纂事業計画などについて述べ、さらに軍事史の重要性が次第に浸透してきたという現状認識を披瀝した。引き続き議事に入り、下記の議案について審議が行われ、いづれも異議なく承認された。

1 平成11年度事業報告・収支決算報告
2 会計監査報告
3 平成12年度事業計画・収支予算案
4 役員人事

役員人事は全役員の留任となった。但し、関西支部長が島岡宏理事から根無喜一理事 に、事務局長が永江太郎理事から中尾裕次理事に交代した。午後は1時20分から慶應義塾大学教授・山田辰雄氏による記念講演「日中関係の150年」があった。山田教授は日中関係を100年のスパンで見ると起点が日清戦争になり、日中関係が中国側の言う日本の中国侵略で始まる「侵略の100年」という一面的なとらえ方をされてしまう。むしろ、タイム・スパンを150年としてアヘン戦争から始めた方が良いと主張する。そうすることで日中関係を相互依存、競存、敵対というように多面的にとらえられるようになる。また、日中関係は常にアメリカなどが介在する多国間関係であり、良好な日中関係を維持するには良好な米中関係の維持に配慮しなければならないと指摘した。最後に、将来への展望として、利害対立を前提として認め、「競存」状態を目指す心構えであるべきと締めくくった。
2時40分からは四会場に分かれ以下のような研究報告が行われた。

☆共通論題部会1.「20世紀アジアの戦争」
下河邊宏満 「再考ノモンハン事件-国境線の真相と事件拡大の要因-」
等松 春夫 「オーストラリアとアジア・太平洋の危機 1937-1942」
T・クック 「中国戦線での死線を越えて-日本人兵士の戦争体験-」
☆共通論題部会2.「朝鮮戦争」
河原地英武 「朝鮮戦争とスターリン」
阪田 恭代 「朝鮮戦争休戦交渉への道-米国の政策-」
安田  淳 「中国の朝鮮戦争停戦交渉-外国軍隊の撤退と軍事分界線をめぐって-
☆自由論題部会1.
淺川 道夫 「維新建軍期の日本陸軍と用兵思想-ジョミニ兵学の受容を中心に-」
新井 聡子 「軍衛戌刑務所における規則と生活-代々木陸軍衛戌刑務所を中心とし て-」
小泉 直彦 「『軍極秘』研究資料に見る昭和18年10月末現在の海軍『探信兵器』 研究進展状況」
☆自由論題部会2.
新治  毅 「中国空軍建設に協力した林飛行隊」
細谷 雄一 「イギリスと冷戦の起源」
中島 信吾 「池田・ケネディ時代の日米関係と日本の防衛政策-『同盟』と『パート ナーシップ』のはざまで-」

5時30分から懇親会が北新館1階「ザ・カフェテリア」で行われ、慶應義塾大学常任理事・薬師寺泰蔵氏からご祝辞を頂いた。懇親会には160名以上が参加し、まさに盛会となった。
第2日目は午前9時30分からシンポジウム「20世紀アジアの戦争 2」が開催された。報告者、表題、コメンテーター、司会者は左記の通りである。報告者の一人、E・ブルース・レイノルズ氏(サンノゼ州立大学教授)は本大会のためにわざわざ来日して下さった。

報告者      秦  郁彦「日本の視点」
劉   傑「中国の視点」
E・B・レイノルズ「東南アジアの視点」
高橋 久志「アメリカの視点」
コメンテーター  伊藤  隆
半藤  一利
司会者      庄司 潤一郎

各報告者、両コメンテーターには限られた時間の中で20世紀にアジアで起こった戦争をそれぞれの視点から振り返るという困難な役割を充分に果たして頂いた。アジアの戦争がいかに多様であり、ひとつに括ってしまうことは不可能である認識を新たにした。惜しむらくは、毎度のことであるが、質疑応答と議論の時間が不足気味であったことで、それは永遠の課題であろう。前大会、及び本大会におけるシンポジウムでの報告は来年(平成13年)3月に発行される『軍事史学』第36巻第3・4合併号誌上において、より発展した形で再現される予定である。
最後になるが、本大会を開催・運営するにあたっては赤木完爾理事をはじめ、慶應義塾大学関係者の並々ならぬご尽力があった。記して感謝の意を表する次第である。尚、満州事変発生70周年にあたる来年の大会は、石原莞爾ゆかりの山形県鶴岡市での開催を計画している。

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