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第33回(平成11年度)年次大会

日時  平成11年6月5、6日
場所  上智大学

本年度の大会は、東京の中心部に所在する上智大学を会場に268名の参加者を得て、上智大学国際関係研究所との共催により開催された。共通論題は、「20世紀アジアの戦争」であった。
第1日目は11時より総会が開かれ、中尾理事の開会の辞に続き、伊藤会長の挨拶があった。その中では、人類にとって避けられない研究課題である軍事について、その裏付けとなるような研究がまさに軍事史学会によって行われるべきである、そしてそうした軍事研究への要求がいま日本で起こりつつあるとの認識が示された。
引き続き左記の議案について審議が行われ、いずれも異義なく承認された。

1 平成10年度事業報告・収支決算報告
2 会計監査報告
3 平成11年度事業計画・収支予算案
4 軍事史学会会則改正案

その後、高橋編集委員長より、「阿南・高橋研究奨励賞」の選考過程の報告があり、規定上2年に1人の受賞のところ、今回は黒野耐会員の「昭和初期海軍における国防思想の対立と混迷-国防方針の第2次改定と第3次改定の間-」(第34巻第1号)と相澤淳会員の「日中戦争の全面化と米内光政」(第33巻第2・3合併号『日中戦争の諸相』)が同賞に選ばれた旨発表があり、両氏に賞状及び副賞が授与された。最後に、新会則に基づく役員人事の報告があり、総会は終了した。
午後からは、13時20分より上智大学教授三輪公忠氏による基調講演「20世紀アジアの戦争-国民国家系の拡張の中で-」が行われた。20世紀のアジアの戦争を東西の文明論から観る視点は大変興味深いもので、この講演は20世紀における西欧社会とアジア社会の狭間の位置にあった(ある)日本について改めて考えさせるものであった。
14時40分からは4つの会場(共通論題、自由論題各々2会場)に別れて、以下のような研究報告が行われた。

☆共通論題Ⅰ
野口博史「『抗米救国戦争』におけるベトナム労働党の軍事戦略-1954~1975-」
鐸木昌之「朝鮮人民軍の創建」
田中恒夫「朝鮮戦争にみる連合作戦の一断面-多富洞の戦いにおける米韓軍の部隊交代から-」
☆共通論題Ⅱ
高世信晃「日清戦争における陸奥宗光の外交戦略-欧州留学期に取り組んだ『国際法』研究を中心に-」
高原秀介「シベリア撤兵過程における日米関係-ウィルソン政権の撤兵政策を中心に-」
荒川憲一「戦争経済研究史序説-アジア・太平洋戦争の場合-」
☆自由論題Ⅰ
喜田邦彦「第四次中東戦争と核威嚇」
吉本隆昭「ヒトラーの軍事戦略観-電撃戦と塹壕戦-」
井口武夫「対米開戦通告をめぐる外交と軍事戦略の交錯」
☆自由論題Ⅱ
片山 宏「箱館戦争と黒石藩派遣部隊の戦闘行動-半隊司令鳴海要助の視点から-」
吉川長利「統帥と法規-陸軍刑法の制定・解釈を巡って-」
小泉直彦「ドイツ海軍Uボート用超短波無線送受信機分解調査の支援」

これら個人研究発表は、会場によっては立ち見の出る程の盛況であり、質疑も活発に交わされた。
17時30分からは、懇親会が上智会館五階会議室で行われ、この席で上智大学長ウィリアム・カリ-氏および同国際関係研究所長デヴィッド・ウェセルズ氏からご祝辞をいただいた。会場は150名を上回る参加者で埋められた。
第2日目は、10時よりシンポジウム「20世紀アジアの戦争」が、200名余の参加者を得て開催された。報告者および司会は左記の通りであった。

報告者  「日露戦争」   原  剛(防衛研究所)
「大東亜戦争」  波多野澄雄(筑波大学)
「朝鮮戦争」   赤木完爾(慶応義塾大学)
「ベトナム戦争」 松岡 完(筑波大学)
司 会          戸部良一(防衛大学校)

戦争勃発の原因よりは各戦争の特質、並びにその後の歴史に与えた影響等を論じるという趣旨の下、各報告者は報告時間20分という短い時間のなかで数多くの興味深い論点を指摘した。また、報告終了後は司会者の統制の下会場からの質問に答えるという形で議論が進められたが、「四つの戦争はすべて域外大国とアジアの国の戦争であったがこれをどう考えるか」「すべてに人種戦争の側面があったと思うがどうか」等、まさに共通論題にそった20世紀を通したアジアにおける戦争全体の特質を問うような議論が展開した。なお来年度に編集委員会は、これらの報告を掲載した特集号を『軍事史学』上で組む予定である。
今回の大会は2日間ともに200名以上の参加者を得た盛会であった。ここに誌上を借りて、本大会実現のために御尽力を賜った上智大学をはじめとする関係各位に、心より御礼申し上げます。

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