第47回(平成25年度)年次大会 | 活動報告 | 軍事史学会
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第47回(平成25年度)年次大会


日時 平成二十五年六月一日(土)
場所 陸上自衛隊衛生学校

 今年の年次大会は、世田谷区池尻にある陸上自衛隊衛生学校において、「軍事と医療」を共通テーマとして六月一日に実施されました。今回は東京で開催される中央大会であったため、大会翌日の史跡研修は実施せず、衛生学校内に開設されている「彰古館」の見学を以てこれに代えました。大会当日は、午前中に秦郁彦先生(元日本大学法学部教授)から「第二次世界大戦における日本軍の医療」と題する基調講演をいただき、午後からは六会場で一五名の個人研究発表がおこなわれました。大会参加者は二〇二名に及び、同日夕方に開かれた懇親会も九七名の参加を得て盛会でした。

六月一日午前九時三十分より、衛生学校の高等看護学院校舎で総会が開かれ、先ず黒沢文貴会長より開会の挨拶がおこなわれました。続いて左記の議案について審議と報告がおこなわれ、いずれも異議なく承認されました。

一 平成二十四年度事業報告及び収支決算報告、会計監査報告
二 平成二十五年度事業計画及び収支予算案

また、委員長人事で、平成二十六年度の年次大会が大阪学院大学において開催される予定であることに鑑み、広野好彦理事が関西支部委員長と兼務の形で大会委員長に就任することが報告されました。
この後、二年に一度選考される阿南・高橋学術研究奨励賞の授与がおこなわれ、優秀論文として畑野勇会員の「海上自衛隊の発足と米海軍・旧日本海軍軍人―艦艇建造再開の過程とその背景―」(『軍事史学』第四十七巻第一号掲載)と、山本政雄会員の「海難事故としての「千島艦事件」に関する考察」(『軍事史学』第四十七巻第一号掲載)が表彰されました。

 続いて十時二十分から、三宿駐屯地司令で衛生学校長でもあられる東威志先生より、歓迎の御挨拶をいただきました。東先生からは、「軍事と医療」という大会の共通テーマに関する意義をお話しいただくと共に、今回の年次大会の成功を祈念する旨のお言葉を賜りました。
十時三十分からは、秦郁彦先生による基調講演が一時間にわたっておこなわれました。演題は「第二次世界大戦における日本軍の医療」でしたが、内容的には幕末における西洋医学の導入から説き起こされ、日清・日露戦争期における伝染病・脚気・結核などの諸問題にも言及されつつ、第二次世界大戦期の日本軍の医療の実情と問題点を解説されるというマクロな視点からの講演であり、秦先生の長年にわたるご研究を踏まえての、示唆に富んだものでした。

十三時からは個人研究発表がおこなわれ、共通論題と自由論題それぞれ三セッションを第一部と第二部に区分する形で、合計一五名(当初一六名の予定が一名キャンセルの為)が日ごろの研究成果を報告しました。各セッションの報告者と司会者は次の通りです。

第一部
共通論題1「軍事と医療」
司会:河合利修(日本赤十字豊田看護大学)
陸軍における近代看護学の導入
鈴木紀子(国士舘大学)日本における病院船―歴史的役割と最近における議論の考察―
小野圭司(防衛研究所)
共通論題2「軍事と医療」
司会:横山久幸(防衛大学校)
軍事と医療―その倫理的葛藤の歴史―
尾立貴志(元陸上自衛隊医官)東日本大震災における検死支援
相羽寿史(陸上自衛隊衛生学校)米軍の危機管理体制と東日本大震災
後藤浩也(陸上自衛隊衛生学校)
自由論題1「日本軍事史」 司会:稲葉千晴(名城大学)

『日支新関係調整方針』と陸海軍
岸田健司(日本大学)

ソ連外交文書から読み解く張鼓峯事件―外交交渉を中心に―
笠原孝太(日本大学)


第二部
共通論題3「軍事と医療」
司会:小菅信子(山梨学院大学)
ビルマにおける兵站病院と日本赤十字社救護班
川原由佳里(日本赤十字看護大学)
幕末の軍陣医療について
淺川道夫(日本大学)
明治期の対外戦争と脚気―広島陸軍予備病院の治療と看護を中心として―
千田武志(広島国際大学)
隅田寛(広島国際大学)
坂村八重(広島国際大学)
自由論題2「諸外国の軍事史」
司会:立川京一(防衛研究所)
イギリスにおける海軍削減の構想と挫折―ジョン・ノットの防衛改革、1981年―
篠﨑正郎(航空自衛隊幹部候補生学校)自由フランスと日本、1941―1964
宮下雄一郎(松山大学)
自由論題3「近現代中国からみた軍事史」
司会:荒川憲一(防衛大学校)
中華民国初期、応聘教官に見る陸軍大学校の諸相
町田純一(会員)日中戦争期、日本占領下における交通網支配の諸相―華中・華南の「愛路」工作を中心に―
大野絢也(愛知学院大学)満洲国軍―軍閥から準日本軍へ―
遠藤彰人(早稲田大学)

   今回の大会では史跡研修に代わるものとして、六月一日の午前九時から午後五時まで「彰古館」を開放していただき、大会参加者各自で随意に見学してもらう形をとりました。見学に当たって、普段は非公開となっている貴重資料をこの大会当日のみ特別展示していただき、あわせて同館学芸員の方による展示解説もお願いしました。ちなみに同日特別公開されたのは、「神風連暴動時刀傷図」「西南戦争外科図」「八甲田山遭難者の写真」などのオリジナル資料です。常設展示されている資料の中にも他では見ることのできない貴重なものが数多くあり、見学者の関心を集めていました。

個人研究発表終了後、会場を近在の「大橋会館」に移して、午後六時から懇親会が開かれました。この会では、東威志先生をはじめとする衛生学校の方四名をお招きして、会員の歓談がなごやかな雰囲気の中でおこなわれました。東京での中央大会は、史跡研修を伴わない一日のみの開催であり、午後八時の懇親会散会を以て、平成二十五年度の年次大会は盛会のうちに終了しました。

今回の年次大会実施に当たっては、学校長であられる東先生のご理解とご協力の下、一年余にわたる計画段階から、直前の会場準備や撤収に至るまで、衛生学校の方々には終始お世話になりました。会員一同、深くお礼を申し上げる次第です。

(文責・淺川道夫)

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