- 講師 中村武生氏(京都女子大学非常勤講師)
- 演題 「天誅組再考―明治維新政治史研究における」
- 日時 平成30年10月21日(日)14:00~16:00
- 場所 大阪学院大学
天誅組とは、幕末期の尊攘急進派の集団である。1863年、中山忠光を擁して大和で挙兵し、五条代官所を襲撃。十津川郷士も加わり、高取城に向かったが、8月18日政変後、幕軍に敗れ壊滅したのは有名であり、「討幕の先駆け」とされる。
この報告では、近年の明治維新政治史研究の中で、この事象をとらえなおしたものである。例えば、第一に、これは倒幕の先駆けではない。参加者は幕府を否定せず、安政の五か国条約破棄を望まない徳川幕府首脳部の排撃を意図したとする。第二に、弱小な天誅組が40日も抗戦できたのは、追討側に一定の支持層がいたからであると指摘される。追討軍の伊勢藤堂家は、京都守護職会津侯松平容保に対して、天誅組浪士全般の助命を嘆願した等刺激的な論点が提出され、活発な議論が行われた。