日時 平成二十四年六月二日(土)~三日(日)
場所 日本大学国際関係学部(静岡県三島市)及び静岡県東部地域史跡研修
今年の年次大会は、「軍事をめぐる国際交流」を共通テーマとして、日本大学国際関係学部において二日間にわたって開催されました。初日は、午前中に日本大学国際関係学部教授吉本隆昭氏から基調講演を頂き、午後には「第二次世界大戦をめぐる戦後和解」をテーマとするパネルディスカッションと、個人研究発表(四会場・一二名)がおこなわれました。また、伊豆にかかわる幕末の軍事資料と、大学キャンパス周辺にあった野戦重砲兵連隊関係資料の展示をおこない、併せて近在の野戦重砲兵連隊史跡見学も実施しました。二日目は、午前中に日本大学国際関係学部において、伊豆学研究会理事長の橋本敬之氏から特別講演を頂いた後、伊豆の国市韮山の江川邸を見学し、午後からは沼津市明治史料館見学と陸上自衛隊第一機甲教育隊での研修をおこないました。大会初日には一五五名の参加があり、二日目の史跡研修には会員八五名の参加がありました。 六月二日(土)には、日本大学国際関係学部三島駅北口校舎の大会会場において、午前十時から総会が開かれ、はじめに会長挨拶がおこなわれました。この挨拶では、平成十四年から一〇年間にわたって会長の重責をつとめられた高橋久志上智大学教授から御勇退の表明があり、次期会長に黒沢文貴東京女子大学教授が就任されることが決まりました。その後、左記の議案に関する審議・報告がおこなわれ、何れも異議なく承認されました。一 平成二十四年度役員・委員人事 二 平成二十三年度事業報告及び収支決算報告、会計監査報告 三 平成二十四年度事業計画及び収支予算案このうち議案一に関して、高橋久志前会長と原剛前副会長が顧問に、また永江太郎・中山隆志前監事が参与に就任されて、白石博司・葛原和三会員が監事となり、庄司潤一郎理事が副会長、荒川憲一・小菅信子・河野仁・戸部良一・吉本隆昭会員が理事に就任することが承認されました(詳細は一七一頁を御参照下さい)。委員長人事では広野好彦理事が関西支部委員長に就任しました。 続いて十時四十分から、日本大学国際関係学部長の佐藤三武朗教授より歓迎の御挨拶を頂きました。この御挨拶では、日本歴史の中での伊豆と軍事のかかわりについてお話し頂くとともに、「軍事をめぐる国際交流」を大会の共通テーマとしたことに敬意を表され、今回の年次大会の成功を祈念する旨のお言葉を頂きました。 さらに十一時から、吉本隆昭教授による「軍事交流からみた日独関係」と題する基調講演がおこなわれました。この講演では、一七世紀以来約三七〇年に及ぶ軍事分野の交流のうち、一八六四年の日本・プロイセン国交樹立から一九四五年の第二次世界大戦終結までを概説して頂きました。その中で示された「第二次世界大戦において同盟国として運命を共にした日本とドイツは、通常の二国関係を超えた重要かつ親密な関係にあったといえるが、それは誤解・齟齬・反発・対立を含んだ複雑なものだった」とする指摘は、示唆に富んだものでした。 十三時からは、沼田貞昭(元カナダ・パキスタン大使、元在英大使館特命全権公使)、小菅信子(山梨学院大学教授)、コンスタンティン・サルキソフ(法政大学教授)の三氏をパネリストに迎えて、「第二次世界大戦をめぐる戦後和解」をテーマとしたパネルディスカッションがおこなわれました(詳細については、本誌四~一七頁の沼田氏の特別寄稿を御参照下さい)。続いて十四時四十分から個人研究発表がおこなわれ、「共通論題」と「自由論題」に分かれて、会員が日ごろの研究成果を発表しました。各部会の報告者と司会者は次の通りです。
六月三日(日)は、大会会場である三島駅北口校舎一階大教室(山田顕義ホール)において、午前八時から橋本敬之氏(伊豆学研究会会長)による「江川坦庵と近代科学」と題する特別講演がおこなわれました。橋本氏は財団法人江川文庫の史料管理に携わられており、二〇〇四年から実施されている同文庫の史料調査の経過や、調査によって発見された様々な史料からうかがうことのできる、江川坦庵(英龍)のもつ近代科学への視座について、わかりやすくお話し頂きました。この講演を通じ、史跡研修先となっていた江川文庫についての予備知識をもつことができました。 |
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(文責・淺川道夫) |