- 日時:平成23年10月22日(土) 14:00~17:00
- 場所:大阪学院大学
- 講師:守屋 純氏(桜花学園大学講師)
- 演題:スターリンが恐れていた「挑発」とは何であつたか
講師は、独ソ戦前にソ連側から出された「挑発」発言に注目していた。
これに関して、講師は、近年公表された1941年5月14日付のヒトラー発スターリン宛秘密書簡を挙げる(”Krasnaia Zvezda” 2003年4号)。
この中では、ヒトラーは、スターリンに対して、ドイツ軍のイギリスへの侵攻を示し、ソビエト国境に駐屯しているドイツ軍は、6月15~20日までに、西欧に移動する旨を知らせている。その一方で、ドイツ軍の一部の将校が、ヒトラーの意思に反して、イギリスを救うために独ソ国境で紛争を起こす可能性も示唆されている。
この書簡の実在を疑問視する学説もあるが、スターリンの心理をうまくついたドイツ側の謀略かもしれないと考えられる。モロトフ(Vyacheslav
Molotov)も、この書簡の実在を否定しない。ただしスターリンはこのようなことを信じるほどお人よしではないが、ロシア側はヒトラーを味方につける方策を求めざるを得なかったとする。講師は、スターリンが、独ソ戦開戦前に「挑発」を頻繁に口にした、一つの原因がこの書簡にあるのではないかと考えられると報告を結んだ。