第80回関西支部定例研究会
- 期日:平成21年1月24日(土) 14:00~17:00
- 場所:名城大学天白キャンパス付属図書館1階視聴覚室
- 講師:松下佐知子(呉市海事歴史科学館学芸員)
浅野豊美(中京大学国際教養学部教授) - 演題:(松下氏)「明治期における対外戦争経験と国際法解釈-有賀長雄を中心に?」
:(浅野氏)「浅野豊美著『帝国日本の植民地法制-法域統合と帝国秩序』名古屋大学出版会、2008年の意義と展望(書評会)」
雪が降り積む悪天候の中、15名の参加者が集まりました。
先に報告した松下佐知子氏は、有賀長雄の明治期の国際法に関係する著作を読み解き、日本が「文明国」となっていく中でどんな問題を抱えていたのかを考察しました。有賀は、日本が非キリスト教国であるというハンディを背負っていて、それを克服するために日本にも「仁愛主義」があると主張しました。報告では、有賀のテキストの中で「仁愛主義」がいかに展開していったかの考察が行われました。
後半は、浅野豊美氏が最近出版した、戦前の植民地法制に関する『帝国日本の植民地法制-法域統合と帝国秩序』の書評会が行われました。植民地を日本に組み込む中で、日本の法制度に馴染まない属人法が作られ、それがどのように展開し、解消されたのかについて、浅野氏から一般的な報告がありました。それから、秋田茂氏(大阪大学)がこの大著をいかに読むのかという補足報告がありました。
報告後参加者から熱のこもった質問が行われ、進行担当者は時間配分に苦慮するほどでした。