- 講師:木村美幸氏(福井工業高専助教)
広中一成氏(愛知学院大学准教授) - 演題:(木村氏)「日本海軍における志願兵「募集」と地域社会」
(広中氏)「『後期日中戦争』の成果と問題点」 - 日時 令和6年9月28日(土) 14:00~17:00
- 場所 名城大学ナゴヤドーム前キャンパスおよびZOOMオンライン会議
令和6年度関西支部第2回例会は、名城大学ナゴヤドーム前キャンパスにおいて、対面形式とZoomオンライン会議形式の併用で開催された。
今回の例会は、新進気鋭の研究者が、最近公刊された自著に基づいて報告をおこなうという形となった。
木村美幸氏は、『日本海軍の志願兵と地域社会』(吉川弘文館、2022年)を、この著書に対する書評をふまえて紹介した。木村氏の研究は、アジア・太平洋戦争末期に、海軍志願兵が急増したのはなぜなのかを、地域社会との関連で追求することであった。徴兵への不信感が高まり、海軍が独自で採用できる志願制の必要性が高まったから。志願兵を集める体制がこの時期までに形成されていたことがその理由とされる。このような体制の大正時代からの継続性も確認された。
広中一成氏は『後期日中戦争 太平洋戦争下の中国戦線』(角川新書、2021年)、『後期日中戦争 華北戦線 太平洋戦争下の中国戦線II』(角川新書、2024年)に基づいて報告をおこなった。「後期日中戦争」とは、広中氏の造語で、アジア・太平洋戦争期の日中戦争のことを指す。この時期、中国戦線で日本軍がどのような作戦を展開していたのかは、対米戦の陰に隠れあまり知られていない。日中双方の史料を用いて、1943年の江南殲滅作戦の際に起きた、廠窖事件や常徳殲滅作戦、華北の治安戦と中国側の抵抗を分析し、研究の空白部分を埋めた。
参加者は18名と関西支部にしては多く、活気があり学びの多い研究会となった。