講師:小林惇道氏(大正大学非常勤講師)
中島浩貴氏(東京電機大学准教授)
演題:(小林氏)「近代仏教教団と戦争:日清・日露戦争期を中心に」
(中島氏)「ドイツ語圏軍事雑誌の公共圏:1870年代を中心として」
日時 令和6年1月27日(土) 14:00~17:00
場所 Zoomオンライン会議
令和5年度関西支部第2回例会は、Zoomオンライン会議形式で開催された。
小林報告では、仏教教団の戦争への関与に関して、日清・日露戦争期における、真言宗と浄土宗の戦時事業に焦点があてられた。またその際、教団の中枢だけでなく、教団所属の寺院や地方組織で実施された施策も考察された。さらに教団中枢、国家、地域の重層的な関係に目を配ることが重要であることが指摘された。すなわち、仏教教団は、この事業を通じて積極的に国家的役割を担おうとした。他方、国は、仏教教団が国家的役割を担うことを望んでいず、さらに地方組織では、負担の大きさから教団中枢の施策を一様に支持したわけではなかったことが示された。
中島報告では、1870年代のドイツ語圏の軍事雑誌の分析がおこなわれた。対象となったのは、テオドール・フォン・トロシュケ『解放戦争以降の軍事文献 成立50年間1820―1870年間の「軍事文献新聞」に関して』(50年分の『軍事文献新聞』書評からどのような軍事文献に価値があるのかを検討したもの)、さらには、1877年のMilitär-Literatur ZeitungおよびStreffleur’s Österreichische Militärische Zeitschriftで紹介された書籍・論文である。軍事雑誌の形成と国際的な知の流通が進み、1870年代のドイツ語圏は軍事雑誌において情報共有がなされていたこと。この中で、ドイツ、フランス、オーストリア、スイス、ロシア、イギリス、イタリアなどの情報がドイツ語圏で扱われたのかが検討された。