講師:真山全氏(大阪学院大学国際学部教授)
演題:「露ウクライナ戦争における地上目標破壊の国際法的評価―原子力発電攻撃」
日時:令和5年7月22日(土)14:00~16:00
場所:大阪学院大学
ロシア・ウクライナ戦争においては、ロシアによりチョルノービリ原発が占領され、稼働していたザポリージャ原発も攻撃・占領を受けた。これは世界に衝撃をあたえた。本報告では、現在の武力紛争法において、原子力発電所がどのように位置づけられるのかを考察した。
ジュネーブ諸条約追加第一議定書によれば、原子力発電所は、「危険な力を内蔵する工作物及び施設」として特別に保護が与えられている。他方、原子力発電所は、軍に電力を供給して軍事活動に貢献しうる軍事目標でもありうる。軍事目標でありながら保護が与えられる原子力発電所の位置づけの難しさが、この戦争で露呈された。原子力発電所の保護を確実にするためには、発電所から軍事目標となる性格を取り除く必要があると論じられた。
今回は、令和5年度初回の対面の例会であった。参加者は少ないものの、原子力発電所の問題にとどまらず、ロシア・ウクライナ戦争を巡り活発な議論がおこなわれた。