- 講師 矢嶋 光氏(名城大学法学部准教授)
大井知範氏(清泉女子大学文学部准教授) - 演題 (矢嶋氏)「芦田均の国際秩序観と対ソ認識―戦前と戦後の連続と変容」
(大井氏)「20世紀初頭における列強海軍の文化交流―ドイツ・オーストリア海軍の視点から―」 - 日時 平成30年7月7日(土) 14:00~17:00
- 場所 名城大学ナゴヤドーム前キャンパス
矢嶋報告では、芦田均の対ソ認識が扱われた。第一次大戦後芦田は対ソ協調を主張。その背景には、連盟を基軸とした集団安全保障体制にソ連を組み込む意図があった。第二次大戦後、冷戦と朝鮮戦争勃発とともに、芦田は反ソ連に転じる。ソ連を普遍主義的体制に組み込むことができないという判断による。芦田には普遍主義的な国際観が一貫していたという。
大井報告では、20世紀初頭に、ドイツとオーストリアが東アジアに常駐させていた軍艦の寄港地で展開した文化活動が論じられた。交流は饗宴、舞踏会等西洋共通の文化様式にもとづいていた。独墺が特に親密な関係を持ったのはイギリスであり、中国人はほとんど含まれていなかった。文化交流を描きながらも、その中に当時の国際的体制の片鱗が覗けるのが興味深い。
二つの報告とも20世紀の国際関係に関する意欲的なものであり、参加者も得るところが多かった。