日時 平成二十年五月三十一日(土)~六月一日(日)
場所 広島国際大学呉キャンパス、大和ミュージアム(広島県呉市)及び海上自衛隊江田島地区(同江田島市)
今年度の年次大会は、広島国際大学の支援を受け、呉市との共催により「日本のシー・パワー」を共通テーマに二日間にわたって開催されました。今回は、日本におけるシー・パワーの生成と発展を軍事史的視点から取り上げることを試みた大会であり、初日は、広島国際大学呉キャンパスにおいて、特別講演として郷土史の視点から歴史・民族研究家の金谷匡人氏による講演が行われ、続いて、会員による研究発表が五会場に分かれて行われ、うち一会場では呉大会特別企画の一つとして海軍工廠の発展を取り上げた報告が行われました。二日目は、会場を大和ミュージアムに移し、呉大会特別企画として「軍事史研究と戦争展示」をテーマにパネル・ディスカッションが行われ、続いて、海上自衛隊江田島地区にある旧海軍の史跡及び資料館の研修が行われました。海軍研究などを通じて、呉市や江田島市に対する会員の関心が極めて高く、初日の大会には一四〇名が、二日目のパネル・ディスカッション及び江田島研修にも一〇〇名前後の会員の参加を得ました。特に、江田島地区研修は予想を大幅に上回る参加でありました。また、呉市の関係部署及び関連団体等の協力により、二日間にわたって多数の市民の方々の参加を得ることができたことも本大会の大きな成果であります。
まず、初日は、午前十一時三十分から総会が開かれ、会長挨拶に先立ち、義井博顧問のご逝去を悼み一分間の黙祷が捧げられました。続いて、会長挨拶が行われ、十九年度学会活動の総括、国際軍事史学会国際大会の二〇一三年度日本開催に対する協力要請及び新会員獲得へ向けた要望などが行われました。その後、左記の議案について審議が行われ、いずれも異議なく承認されました。 午後に入り、開催校の広島国際大学副学長の大場新太郎教授から歓迎の挨拶を頂きました。歓迎挨拶では、同大学呉キャンパスが旧海軍工廠工員養成所の地に建っていることなどが紹介され、歴史の巡り合わせの地で大会が成功することを祈念するとのお言葉を頂きました。続いて、十三時四十分から金谷氏による「海賊たちの中世」をテーマとした特別講演が行われました。講演では、海賊の特質とその力の源泉について村上水軍のネット・ワークの生成と瀬戸内海という場の力をキーワードとしたお話を頂き、日本のシー・パワーのルーツを理解する上で貴重な示唆を頂きました。
二日目は九時三十分から「軍事史研究と戦争展示」をテーマに、庄司潤一郎会員の司会で以下の四名の会員パネリストによるディスカッションが行われました。本パネル・ディスカッションは博物館における展示を通じて戦争を如何に後世に伝えるかという点について、軍事史研究の立場からそれぞれの専門的な立場から討論を行っています(討論の細部は、本誌九頁「平成二十年度(第四十二回)軍事史学会年次大会パネル・ディスカッション」参照のこと)。
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