軍事史学会の沿革
わが国において軍事史研究を目的に設立された最初の学会は、昭和11年(1936年)4月18日に創設された「軍事史学会」であります。当時の高名な歴史学者や陸海軍の軍人が中心となって設立されたこの学会は、軍事史の各分野にわたる幅広い研究の成果を機関誌『軍事史研究』に発表して、軍事史学の発展に大きな貢献を致しました。機関誌『軍事史研究』は、昭和11年4月から18年春まで隔月に年6回刊行されましたが、20年8月の終戦によって学会は解散の止むなきに至りました。戦後は、軍事に関する問題は学術研究の分野も含めて忌避される風潮が強く、独立回復後も軍事史研究の学会が設立できない状態が続きました。昭和37年(1962年)このような異常な状態を憂慮する人々によって「国防史学会」が設立され、機関誌『国防史学』(39年春『軍事史研究』に改称)を刊行致しましたが、昭和40年(1965年)3月、軍事史のより活発な研究活動を行うため発展的に解散し、新たに「軍事史学会」を設立して今日に至っております。
本学会の機関誌『軍事史学』は、同年5月に創刊号を発行して以来、着実に号を重ねて平成22年には通巻180号を数えました。そして本学会の着実な研究活動は国内外に広く認められ、平成2年には学術会議登録団体となり、同年3月刊行の百年記念特集号『第二次世界大戦--発生と拡大--』と平成9年12月刊行の『日中戦争の諸相』は吉田茂国際基金より吉田賞を受賞致しました。
本学会の特色は、軍事史研究を通じた積極的な国際交流で、「国際軍事史学会」に加盟して毎年1~2回開催される国際大会には必ず参加しています。そして、国際大会における優れた研究発表やわが国の軍事史研究の動向を紹介する『国際軍事史学会年報日本版』を海外26ヶ国の関係学会に送付した実績によって高い評価を受けています。それだけに期待も大きく国際大会の開催等、アジアを代表する学会としての責任を果たすことを強く要望されています。