◇年次大会報告


第三十八回(平成十六年度)
   軍事史学会年次大会第38回年次大会 写真報告


日時 平成十六年五月二十九日(土)
場所 東京ビッグサイト会議棟(東京都江東区有明)


 日露戦争開戦百周年の節目にあたる今年度の大会は、「日露戦争一〇〇年」をテーマとして二百名を超える会員の参加を得て開催された。今大会は、「研究活動の一層の充実と学会の質的向上に努める」とした活動方針の下、これまでのプログラムを大きく変更して、個人研究発表を午前中から行い、かつ発表者を十五名するなど会員の研究報告の場を拡大した大会となった。また、大会に関する業務の簡素化・合理化の一環として、大会参加費等の事前振込みを試みたほか、大学を会場としたそれまでの運営から会場の設営等を業者に委託する等大会担当の会員の負担軽減を図った。
 総会は、午後四時十五分から開かれ、始めに高橋久志会長の挨拶が行われた。会長挨拶では、より開かれた学会、軍事史研究の更なる普及を目指すことが表明され、このため、すでにIT(情報技術)委員会を立ち上げ、インターネットを活用した情報発信をより充実させる活動を行っていることが紹介された。また、本学会の一層の飛躍と発展のため、新旧役員の交代に際しては積極的に若手や女性を登用して、学会活動をより活性化していく方針が示された。
続いて、議事に入り、左記の議案について審議が行われ、いずれも異議なく承認された。

一 平成十五年度事業報告及び収支決算報告
二 会計監査報告
三 平成十六年度事業計画・収支予算案
四 新役員の承認
五 その他

 記念講演は、慶應義塾大学教授の横手慎二氏をお招きして、午後十二時五十分から「外国人による日露戦争研究:近年の動向」について講演を頂いた。本講演は、最近の欧米の研究動向だけではなく、冷戦の終焉という事態を受けて、これまで存在さえ知られずにいた「古い研究」も含めた研究史の動向であり、比較研究の観点から貴重なご意見を頂き、個人研究発表における議論を大いに盛り上げるものとなった〔氏の講演内容は、軍事史学会編『日露戦争(一)』(『軍事史学』第四十号第二・三合併号)二七七−二九一頁に掲載〕。

 個人研究発表は、午前十時から共通論題二会場、自由論題二会場に分かれ、記念講演を挟んで午後四時五分まで行われた。例年とは異なり午前中からの開催であったにもかかわらず、いずれの会場も開始早々から多数の会員が参加して活発な議論が交わされた。なお、自由論題のうち一会場は、「民国期の中国」を部会の共通テーマとして行われた。報告者とテーマは左記の通り(報告の一部は、『日露戦争(一)』に掲載)。

共通論題部会@「日露戦争100年」  司会 黒澤文貴
小松 津代志 「対馬暖流」
服部 浩洋  「再考・旅順攻略」
中井 晶夫  「外国観戦武官の記録−スイス・ドイツ史料を中心に−」
松村 正義  「マカロフ提督と日本」

共通論題部会A「日露戦争100年」  司会 等松春夫 
小野 圭司  「日本の対露戦準備−財政支出を中心に−」
藤田 昌雄  「日露戦争における日本陸軍の糧秣体系」
平間 洋一  「日露戦争とアジア主義・共産主義・モンロー主義」
藤田 賀久  「小村寿太郎の桂・ハリマン協定破棄−その人間像と構想」

自由論題部会@            司会 荒川 憲一
石津 朋之  「攻勢主義(Cult of the Offensive)について
−第一次世界大戦の作戦計画と時代精神−」
山本 智之  「1943年における日本陸軍の対ソ作戦計画とソ連認識」
米田 富彦  「印欧語族とその戦闘様式に関する一考察
−比較言語学及び比較神話学より見た構造分析について−」
太田 英比古 「日本古代の間諜について−藤原広嗣の乱との関連において−」

自由論題部会A「民国期の中国」    司会 戸部 良一 
町田 純一  「中華民国初期の陸軍教育について−陸軍軍官学校を一例に−」
中田 崇   「中国国民党の対外宣伝工作1937-1941−宣伝戦とは何か−」
劉  紅   「駐米大使期の胡適」

 大会終了後、東京ベイ有明ワシントンホテルにおいて、午後六時から懇親会が開かれた。懇親会に九十名ほどの会員が参加し、講師の横手氏にも参加を頂き、打ち解けた雰囲気の中で意見交換を行い会員相互の親睦を図ることができた。

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